創作

月の涙

真珠が好きだ。 艶々と滑らかな肌に光を受けて、僕の目へと幽玄の眩さを照り返している。あの無垢な月光にも似た清らかさ。 それが彼女の短く揃えられた髪の隙間からチラリと垣間見えるその瞬間が、僕の心を捉えて離さない。 いつから髪型を変えたのだろう、…

花咲

高校時代の同級生が死んだ。 彼女のお母さんからの電話で聞いた。あんまり突然のことで、ただ一言「そうですか…」と呟いただけだった。とにかく告別式やお通夜の日はスケジュール帳にメモしてあったが、結局何を話したのだったか記憶に残っていない。 何しろ…